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One's MOTIF / vol.2 馬場雅人さん

One's MOTIF / vol.2 馬場雅人さん
Sゝゝ[es] 酒燗器 横型チロリセット

さまざまな分野で活躍するプロフェッショナルに、リビング・モティーフで出会った愛用品についてお伺いするインタビュー企画「One's MOTIF」。 第2回は、クリエイティブディレクターとして活躍する馬場雅人(ばば まさと)さんに、Sゝゝ[es]の酒燗器 横型チロリセットについてお伺いしました。
       
  • 手間と時間を楽しむ、美しい道具

    ―こちらの商品に出会ったのはどういうきっかけでしたか?

    以前から知っていて、気になっていたんです。リビング・モティーフに行くたびに「いつか買おう」と思いながらタイミングを悩んでいたんですが、2、3年前にようやく購入しました。形が2種類あるので、スタッフの方と相談しながら決めましたね。

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    デザインのいい酒燗器はなかなかないけれど、これは美しい。ディテールを見ても板金の処理まで綺麗ですよね。持ち手が取れるのも機能的で気に入っています。
    ぬる燗が好きで、熱燗をここに入れてちょっと置いておくと、ちょうどいい温度になるんですよ。

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    ―酒燗器を愛用されているのは、晩酌をよく楽しまれるからですか?


    道具が好きなんですよ。お酒が好きというのはその次ですね。せっかくだったらいいお酒をいい場所で、いい道具で飲みたいと思うんです。

    火をつけて、ろうそくを見ながら適度な温度になったお酒をゆっくり楽しむ。お酒を飲む道具っていうよりも、そういった手間や時間と向き合うためのもの、そんな感覚ですね。道具を使うためにはその時間を作らないといけない。生活の中で、ひと手間かける時間を作ることってやっぱり大事だと思っていて。だから、道具が好きなんですね。

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    お客さんが来てくれた時に気持ちいい空気感を共有する時間が好きで。そんなときは特に、こういう美しい道具を使いたくなりますね。

  • 経年変化というストーリーを丁寧に楽しみたい

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    ―新品のものと比べて色が変化していて、いい味が出ていますね。

    “もの”は、できるだけ丁寧に使い込むようにしています。だから基本的には使えなくなるまで使います。そのために、手入れの仕方を学ぶんですけど、それもまた楽しかったり。

    キズや汚れを見ると、「あの時のキズだな」っていう記憶がよみがえる。経年変化ってその“もの”がもつ背景、ストーリーなんですよね。そのストーリーができていく過程も楽しみたいから、長持ちさせて、味わい深く育てていきたい。丁寧に経年変化させていくことを大事にしています。

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    ―経年変化はストーリー。素敵な考え方ですね。

    25年ほど前、まだ20歳だった頃に購入したジンクトップ(亜鉛天板)テーブルを今でも愛用しています。ジンクトップテーブルは、フランスのカフェのカウンターでも使われていて、グラスを置くとアルコールに反応して輪っかの跡ができるんですよ。その跡がたくさん残っていればいるほど、お店がよく繁盛していた証になるんです。経年変化からそういうストーリーを感じられるのが面白いですよね。

  • 居心地のいいバランス

    −身の回りのものが暮らしや仕事に与える影響はありますか?

    好きなものからは、心地よさだとか、リラックスできて気持ちが落ち着くとか、楽しいとか、そういう感覚を得られますよね。見ていて毒にならない、居心地のいい環境をつくりたいんです。

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    空間プロデュースやディスプレイの仕事もそうですが、自宅でもバランスを大事にしています。食器棚に並べる器もバランスをみて差し引きしたり、花を生けたときにはしっくりくる角度を見つけるまで直してみたり。自分の感性で好きなように楽しんでいますね。

  • ものへの愛情を感じる場所

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    ―長年リビング・モティーフをお引き立てくださる理由をお伺いできますか?


    スタッフの方から“もの”に対する愛情を感じるんですよね。普段は黙々と買い物をするタイプなんだけど、職人さんや作家さんだったり、専門家の方との会話はやっぱり楽しくて。リビング・モティーフのスタッフの方はみなさんよく勉強されていて、相談しながら楽しく選ぶことができるので、嬉しくなりますね。


    ―今、リビング・モティーフで気になっているものはありますか?


    椅子ですかね。家でも仕事をするから、座り心地のいいワークチェアが気になります。
    いつもふらっと立ち寄って、何があるかを把握しておくんです。それで仕事で必要になることもあれば、個人的な買い物につながることもありますね。これからもそんなふうに通いたいと思います。


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    馬場雅人/Masato Baba
    クリエイティブディレクター
    2010年 アッシュ・ペー・フランス株式会社在籍中にインテリアの合同展示会「BATOMA」を立ち上げ、2019年まで主催。活動を通して出会ったクリエイターとの協業を軸に、クリスマス装飾、イベント開催、空間演出など、全国各地で様々な企画を手掛ける。近年では商業施設を中心に、六本木ヒルズ・クリスマスツリー装飾、麻布台ヒルズ・クリスマスマーケット監修、名古屋ミッドランドスクエア・周年インスタレーション企画などを実施。クリエイターの創造力が発揮される場作りを続けている。
    https://www.instagram.com/masatobaba/

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